大先生の一言
相手と自分があるとは、陰陽があるということで、それは生成化育する元です。
陰 陽 の 働 き の 結 び に よ っ て 、 働 く 技 が 生 ま れ ま す 。

*昭和58年6月5日、九州学生合氣道連盟演武会で話された大先生の一言

合氣道は、相反する物事を一つに結び付け、勝負を必要としない武道なのか。

 「生成化育」を、スマホで意味を調べてみると、「自然が万物を生み育て、宇宙をつくりあげていること」とありました。プラスとマイナス、男と女、右と左、善と悪、過去と未来、明と暗、敵と味方など少し考えただけでも、相反する物事は限りない程出てきます。合氣道の精神の中に「合気とは、自己に打ち克ち敵をして戦う心無からしむ、否、敵そのものを無くする絶対的自己完成の道」とあります。「これは相反する物事が、結びあうことによって、生まれ育ち大きく成長する姿を現していて、それを体現しているのが合気道であり、合氣道に本来、勝負がないのはそのためなのだろうか」と思えてきます。

本多理一郎 記

2 7 年 間 を 振 り 返 っ て         参 段   伊 良 波  朝 彦

 私は、1994年入門から細く長く合氣道を学んでいます。同志の皆さんには、細く長くは失礼にあたると思いますが、今、私が合氣道を続けられているのは,気兼ねなく無理せず楽しく稽古することができたからだと思います。本多館長先生の自衛官として4年間の沖縄勤務が終了し熊本へ戻った後、沖縄道場は、残った会員30名程で継続していましたが、会員の多くは自衛官で、一人また一人と転勤で沖縄道場を去り、気が付けば4、5名の地元の会員だけが残りました。「このままでは本多館長先生が、沖縄に合氣道の種を蒔き、芽が出て、育ってきている沖縄道場を枯らしてしまう」と残った会員で危機感を抱き、危機回避の方法を考えました。
 先ずは稽古日を週3日から週1日、稽古場所を残留会員の居住する那覇市に、豊見城中学校から那覇市立石田中学校に移しました。また、知人・友人に声をかけたり宣伝ビラを配ったり様々な活動をして何とか息を吹き返し、現在常時6~8名の会員で稽古を楽しんでいます。
 私は、稽古を楽しむことが継続のポイントだと思います。入門後に結婚、3人の子宝にも恵まれました。子供たちが幼い頃、無理やり稽古場に連れて行き、合氣道の楽しさを教え、引き込み幼年部を立ち上げました。親子で合氣道を学び、汗を流し時間を共有できたことで、絆が深まったようにも思えます。沖縄道場では大人と子供が一緒に稽古しています。本来は分けて体格に合った稽古が望ましいのでしょうが、子供達と一緒に稽古することで意外な気付きや発見もあり、やって良かったと思います。
 沖縄には「なんくるないさ~」という言葉があります。標準語にすると「なんとかなるよ」という感じだと思います。沖縄では困ったことや危機が迫った時には、「なんくるないさ~」と気楽な表現で困難を乗り越えます。沖縄道場も館長先生が沖縄を離れて25年余り、様々な困難がありましたが何とか乗り越えてきました。コロナ禍で1年近く稽古が出来ない日々が続きましたが、何とかなるよと気長に待って、これからも合氣道の稽古を楽しみながら励みたいと思います。

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