野暮な若い頃の私に、見かねた大先生の一言が、胸に響いたあの頃でした。
私の20歳代後半頃は、本部道場で稽古するのが楽しくて仕方ない時期でした。それだけに自分の服装、身なりなどには無頓着で、周りからは野暮ったいと思われていたかもしれません。合氣道道衣の洗濯も疎かになり、周りの人達を不愉快な思いにさせたことを、大先生のご指摘から反省させられました。大先生の合氣道に対するあり方は、スーツにネクタイ姿、革靴と常に品格を持って、周囲にも不快感を与えない立ち居振る舞いと私には見えました。「合氣道をするものは、合氣道の技を稽古するだけでは、いけないよ。生きていくうえで、生活するうえで、全ての物事に目を配って『合気とは愛なり、天地の心を以って我が心とし』を実践していくものですよ。」と、大先生の後ろ姿から様々なものを学ばせて頂いたと思っています。今をいかに生き、世に役立つ生き方を実践するかです。
本多理一郎 記
エチオピアより一時帰国中の2か月間、親徳館の本多先生はじめ皆様に、再び大変お世話になりました。エチオピアでは、空手・柔道は意外と盛んですが、合気道は教えて下さる方が見つからず、日本に一時帰国したとき限定の貴重な稽古時間です。エチオピアでは、テコンドーに通っているうちの子供達にとって、合氣道ならではの自分から攻めない思想、流れるような動き、しなやかで強弱のある受け身柔剛の絶妙なバランス等から学ぶことが多いのではないかと思います。長年合氣道を極めて来られた皆さんの、美しく無駄のない体捌きに目を見張りつつ、またその根底にある「愛」「思いやり」「心」にいつも感謝・感動しております。
今後も一時帰国の際には稽古に参加させていただきたく、次回皆さんに、お目にかかるのを家族一同楽しみにしております。
エチオピアは今も内戦が続いており、政情・治安は不安定ですが、合氣道を通して触れることができた、穏やかでざわつかない心を意識し精進してまいりたいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2022年8月28日 古賀さや・まりエリアスの母