大先生の一言

「任 せ る」 と 「力 を 抜 く 」 と は 違 う 。
  「任 せ る」は 先 に 捉 え る 。「力 を 抜 く」は 相 手 に 捕 ら れ る 。
「任 せ る」か ら 結 べ る。柔 ら か い か ら 結 べ る。敵 を 無 く す る。

*平成8年8月有段者研修会の中での大先生のお話から

遠く離れて合気道を求めている私にとって大先生の一言は、砂に水が沁み込むようでした。

 「紐を結ぶ時、硬かったら結びたくても結べないでしょう。柔らかいから結ぶことができるんです。」とも話され、優しく弟子達に呼吸力について説明して下さいました。私は沖縄勤務中でしたが、休暇を取って知人の退官パーティー出席と、有段者研修会の参加の為、熊本を3年ぶりに訪れた時の大先生のお話でした。「任せる」時も、「力を抜く」時も全く同じ動きです。だから見た目だけで違いを理解するのは困難です。手を握っている相手だけが感じることができる世界です。「今です。」「これです。」と言われても求める気持ちのない相手には、「ただ力を入れてないだけ」で済んでしまうことかもしれません。しかし遠く沖縄で試行錯誤しながら合氣道をしていた私にとって、大先生の手を直接取らせて頂き、話を直接聴ける有り難さは、砂に水が沁み込むように感動的でした。     

本多理一郎 記

     合 気 道 を 始 め て          5級 高尾 美保

 私は小学校の教員をしています。小学校では、子供たちの命を守る為に教職員がどう動けばいいのかを考えています。また女性の先生が強盗に襲われる事件もあり護身術を学びたいと思い入門しました。
 合気道をしてみて、「おもしろい!」と思いました。館長先生がされる技を見て、「簡単そう!」と思ってやってみると、とても難しかったり、自分ではたいした力を入れてないのに受け手の方が倒れたりすると「合気道って不思議!」とはまってしまいました。また、稽古の始めに奉唱する「合気道の精神」は私の心の支えにもなっています。子供たちの中には感情のコントロールが苦手で、思い通りにならないと暴力をふるってしまう子もいます。そんなとき「敵そのものを無くする絶対的自己完成の道なり」を心で唱え、相手の気持ちに寄り添うように接し、その子の思いを受け止めた上で、正しい考えや行動を教えます。最近はそんな子も心を開き私をとても頼りにしてくれるようになりました。合気道って本当に奥が深い武道だと思います。

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